退職後の健康保険の選び方 ― 任意継続・国保・家族の扶養
会社を辞めると、退職日の翌日に会社の健康保険の資格がなくなります。次の仕事がすぐに決まっていない場合は、次の3つのどれかに入ることになります。令和8年度(2026年度)の制度をもとに、違いと選び方をまとめました。
まず結論:選ぶ順番
- 会社員の家族(配偶者・子など)の扶養に入れるなら、まずそれを検討します。扶養に入れば、あなた自身の保険料はかかりません。
- 扶養に入れない場合は、任意継続と国民健康保険のどちらが安いかを比べて選びます。比べるときは比較ツールをご利用ください。
- 倒産・解雇などで離職した方は、国保の保険料が大きく下がる軽減があるため、国保のほうが安くなることが多いです。
3つの選択肢の比較
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| 任意継続今の会社の保険を続ける | 国民健康保険市区町村の保険に入る | 家族の扶養家族の会社の保険に入れてもらう | |
|---|---|---|---|
| 加入先 | 退職前の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合) | お住まいの市区町村 | 家族が加入している健康保険 |
| 条件 | 退職日までに継続して2か月以上加入していたこと | ほかの健康保険に入らない人 | 年収130万円未満など(下記) |
| 手続きの期限 | 退職日の翌日から20日以内 | 多くの市区町村で、退職日の翌日から14日以内 | 家族の勤務先を通じて届け出 |
| 加入できる期間 | 最長2年 | 制限なし | 条件を満たす間 |
| 保険料 | 退職時の標準報酬月額×保険料率。会社負担分がなくなり全額自己負担 | 前年の所得と加入人数などで計算 | かからない |
| 家族の分 | 扶養家族の保険料はかからない | 家族も1人ずつ加入者になり、人数分かかる | ― |
「扶養」の例:夫が会社員で、妻が退職した場合、妻は夫の会社の健康保険に「扶養家族」として入れてもらえます。妻の保険料はかかりません。親や子が会社員の場合も同じです。
任意継続とは
退職前に加入していた健康保険に、退職後も最長2年間続けて加入できる制度です。
加入の条件と手続き
- 退職日までに、健康保険に継続して2か月以上加入していたこと。
- 退職日の翌日から20日以内に申し出ること(協会けんぽの場合、20日目が土日祝日なら翌営業日まで)。期限を過ぎると加入できません。
保険料
- 在職中は会社と折半していた保険料を、全額自分で負担します。そのため、在職中の給与明細の保険料のおよそ2倍になります(下記の上限があるため、2倍より少なくなる場合もあります)。
- 協会けんぽの場合は「退職時の標準報酬月額 × お住まいの都道府県の保険料率」です(40〜64歳は介護保険料率、令和8年4月分からは子ども・子育て支援金率0.23%が加わります)。
- 協会けんぽでは、計算に使う標準報酬月額に上限(令和8年度は32万円)があります。給与が高かった人ほど、任意継続が割安になりやすい理由です。
- 健康保険組合の場合、保険料率や上限は組合ごとに違います。上限を設けず退職時の標準報酬月額をそのまま使う組合もあります。
- 扶養している家族がいても、保険料は増えません。
注意点
- 保険料を納付期限までに納めないと、資格を失います(協会けんぽは毎月10日が期限)。
- 任意継続の期間中に起きた病気・けがについては、傷病手当金・出産手当金は支給されません。
- 本人の申し出で任意継続をやめることができます。2年目に国保のほうが安くなった場合などは、やめて国保に切り替える方法もあります。
国民健康保険(国保)とは
お住まいの市区町村が運営する健康保険です。会社の健康保険や家族の扶養に入らない人が加入します。
保険料の決まり方
- 保険料は、医療分・後期高齢者支援金分・介護分(40〜64歳)・子ども・子育て支援金分(令和8年度から)の合計です。
- それぞれ「所得割(前年の所得に応じた額)」「均等割(加入者1人ごとの額)」と、市区町村によっては「平等割(1世帯ごとの額)」で計算します。料率は市区町村ごとに違います。
- 年度(4月〜翌年3月)ごとに、前年の所得で計算します。退職した年は在職中の所得で計算されるため高くなりやすく、翌年度(4月以降)は退職した年の所得で計算されるため下がることが多いです。
- 扶養の考え方がないため、家族も1人ずつ加入者になり、人数分の均等割がかかります。
- 保険料は、届け出た月ではなく、加入しなければならない月(退職日の翌日の属する月)から計算されます。
保険料が安くなる制度
- 倒産・解雇などで離職した方の軽減:雇用保険の受給資格者証などの離職理由が対象の理由(離職理由コード11・12・21・22・23・31・32・33・34)で、離職時に65歳未満の方は、前年の給与所得を30%とみなして計算します。期間は、離職日の翌日の属する月から翌年度末までです。市区町村への届け出が必要です。
- 所得が少ない世帯の軽減:世帯の所得が一定以下だと、均等割(平等割)が7割・5割・2割軽減されます。
- 子どもの軽減:未就学児は医療分・後期分の均等割が5割軽減され、18歳未満の子は子ども・子育て支援金分の均等割がかかりません。
家族の扶養に入るには
配偶者や親・子などが会社の健康保険に加入している場合、その扶養(被扶養者)に入れることがあります。扶養に入れば、自分の保険料はかかりません。主な収入の条件は次のとおりです(協会けんぽ・日本年金機構の基準。健康保険組合でもおおむね同じです)。
- 今後1年間の収入の見込みが130万円未満(60歳以上または障害者の方は180万円未満。配偶者以外で19歳以上23歳未満の方は、令和7年10月以降150万円未満)。
- 同居の場合は、収入が扶養する人の収入の半分未満。別居の場合は、収入が扶養する人からの仕送り額未満。
- 雇用保険の失業給付(基本手当)を受け取る場合は、日額3,612円以上だと受給中は扶養に入れません。
「年収」は過去の収入ではなく、これからの見込み額で判断します。退職して収入がなくなる場合は、退職前の年収が高くても扶養に入れることがあります。
どちらが安い? 任意継続と国保の比べ方
- 給与が高かった人:任意継続は標準報酬月額の上限で頭打ちになるため、国保より安くなりやすいです。
- 扶養家族が多い人:任意継続は家族の分がかからないため、有利になりやすいです。
- 倒産・解雇などで離職した人:国保の軽減で所得が30%とみなされるため、国保が安くなりやすいです。
- 2年目:国保は退職した年の所得で計算されるため下がることが多く、2年目は国保のほうが安くなる場合があります。任意継続はやめて国保に切り替えられます。
実際の金額は、お住まいの市区町村や家族構成で大きく変わります。比較ツールで具体的な目安を確認してください。
任意継続と国保の保険料を比べる参考にした公的な情報
- 協会けんぽ「任意継続」:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/voluntary_continuation/index.html
- 協会けんぽ「保険料について(任意継続のよくあるご質問)」:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/voluntary_continuation/005/index.html
- 協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/news/r07_dec/1259.html
- 協会けんぽ「令和8年度の都道府県単位保険料率」:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3130/r08/260216/
- 日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき」:https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html
- 目黒区「国民健康保険料の軽減」(非自発的失業者の軽減・均等割の軽減の例):https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/kokuho/hokenryo_keigen.html
- 名古屋市「令和8年度分の国民健康保険料」(加入月からの保険料計算の例):https://www.city.nagoya.jp/kurashi/hoken/1011736/1011793/1011794/1011799.html
このページは令和8年度(2026年度)の制度をもとにした一般的な説明です。実際の手続きや保険料は、加入先の健康保険・お住まいの市区町村にご確認ください。(2026年10月確認)